近年の研究によって重症な起立性調節障害では自律神経による循環調節(特に上半身、脳への血流低下)が障害され、日常生活が著しく損なわれ長期に及ぶ不登校状態やひきこもりを起こし、学校生活やその後の社会復帰に大きな支障となることが明らかになりました。
その中でも特に中学生の子供がいる保護者に向け、「最近朝起こしても起きられない」「顔色が悪い」「学校に行けなくなってきた」など、様子がおかしいと感じている方。その様な時にどう対応すればいいのかわからない方に子供の異変を察知し、最善な治療を選択し早期改善を目指してほしいと考えます。また「病院で薬を出されて飲ませているが変化がない」など、お悩みの保護者に向けても子供の症状に対してどうすれば最善なのかをここでは起立性調節障害の原因、症状、治療の選択肢などをいくつか紹介し、少しでもお役に立てればと考えております。
起立性調節障害は特に中学生の※有病率が高く、この時期は身体の様々な機能が大人へと変化していく時期です。この変化は自律神経系にも起こるため、循環器系の調整がうまくいかなくなる事があります。新しい環境や、先輩・後輩などの人間関係、慣れない学校行事などでストレスがたまり、性格的にまじめで気を遣うタイプの子供が起立性調節障害になりやすいと言われていますが、これはストレスをため込みやすいという精神的、環境的要素に関連すると考えられます。
しかしながら起立性調節障害はあくまでも体の病気であり、本人が頑張ればどうにかなるものではありません。
※有病率 軽症例を含めると、小学生約5%、中学生10%。重傷は約1%。
起立性調節障害の症状は、思春期には健常で元気な子供でも自覚することがあります。すべてを起立性として扱う必要はありませんが、学校に行けなくなる、生活に支障をきたしている場合は疾患として扱い、診察や治療を受ける必要があります。起立性調節障害の典型的な症状は「立ちくらみ」「体が疲れやすい、だるい」「長時間立っていられない」などです。
起立性調節障害は特に中学生の※有病率が高く、この時期は身体の様々な機能が大人へと変化していく時期です。この変化は自律神経系にも起こるため、循環器系の調整がうまくいかなくなる事があります。新しい環境や、先輩・後輩などの人間関係、慣れない学校行事などでストレスがたまり、性格的にまじめで気を遣うタイプの子供が起立性調節障害になりやすいと言われていますが、これはストレスをため込みやすいという精神的、環境的要素に関連すると考えられます。
しかしながら起立性調節障害はあくまでも体の病気であり、本人が頑張ればどうにかなるものではありません。
※有病率 軽症例を含めると、小学生約5%、中学生10%。重傷は約1%。
起立性調節障害の症状は、思春期には健常で元気な子供でも自覚することがあります。すべてを起立性として扱う必要はありませんが、学校に行けなくなる、生活に支障をきたしている場合は疾患として扱い、診察や治療を受ける必要があります。起立性調節障害の典型的な症状は「立ちくらみ」「体が疲れやすい、だるい」「長時間立っていられない」などです。
起立性調節障害の症状
- 立ちくらみ、めまい
- 朝起床困難
- 起立時の気分不良や失神
- 顔色が悪い
- 食欲不振
- 腹痛
- 動悸や息切れ
- 倦怠感
- 頭痛
- 乗り物酔い
- 入浴時や嫌なことで気分不良
このうち3つ以上、あるいわ2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害の疑いあり。
※ただし鉄欠之性貧血、心疾患、てんかんなどの神経疾患、副腎、甲状腺など内分泌疾患等の基礎疾患は除外します。
症状は午前中に強く午後には軽減し立位や座位で増強し、臥位(横になる)と軽減する傾向があります。
夜になると活動的になり、スマホやテレビなどを楽しむことができるようになります。
重症では臥位でも倦怠感が強く起き上がれない事もあります。
夜になると目がさえて寝るのが困難で、起床時間が遅くなり昼夜逆転生活になることもあります。
原因
- 過少あるいは過剰な交感神経活動
- 水分の摂取不足
- 心理社会的ストレス(学校ストレスや家庭ストレス)が関与する。身体が辛いのに登校しなければならないという圧迫感が、さらに病状を悪化させる
- 日常の活動量低下→筋力低下と自律神経機能悪化→下半身への過剰な血液移動→脳血流低下→活動量低下
起立性調節障害の4つのタイプ
(1)起立直後性低血圧
起立直後の血圧低下からの回復に時間がかかるタイプ
(2)体位性頻脈症候群
血圧の回復に異常はないが、起立後心拍の回復がなく上昇したままのタイプ
(3)神経調節性失神
起立中に急激な血圧低下によっていきなり失神するタイプ
(4)遷延性起立性低血圧
起立を続ける事により徐々に血圧が低下して失神に至るタイプ
(1)(2)タイプが多く(3)(4)は少ない傾向にあります。しかし(1)(2)に引き続き(3)の神経調節性失神を起こす事もあり、経過中にタイプが変わる事もあります。
治療
保護者の疾病教育
中等症や重症の多くは倦怠感やだるさ、立ちくらみなどの症状が強く、朝起きられなくなり遅刻や欠席を繰り返していますが、保護者の多くは子供のこういった症状を「怠けているだけ」、「ゲームやスマホばかり使っているからだ」「夜更かしをしているからだ」「勉強、学校嫌いだ」などを原因と考えて子供に怒鳴ったり、朝無理やり起こそうとしたりして、子供はストレスになり親子関係も悪化するケースも少なくありません。
まずは本人も保護者も起立性調節障害は身体疾患であり、「根性や気持ちの持ちよう、スマホを取り上げる」だけでは治らないという理解が必要となります。
本人と保護者が一緒に疾病と向き合い、正しい知識を学び診断の受診や治療を行いましょう。
非薬物療法(日常生活で行えること)
- 軽めの運動(ウォーキング等)から心がけ、夜更かしをしない生活を心がける。
- 眠くなくてもベッドに入るのが遅くならないようにする。
- 循環血液量を増やすため、水分摂取は1日1.5~2リットル、塩分10g~12gを取る。
- 座位や臥位から立ち上がる時は、頭を下げてゆっくりと立ち上がる。
- 立ちくらみが強い場合は、急に立ち上がらないよう注意し、気持ちが悪いようなら早めにしゃがむようにする。
- 立ったまま1~2分以上静止状態は続けない。足をクロスして起立を保持する。
学校や先生との連携
学校関係者に起立性調節障害の理解を深めてもらい、受け入れ態勢も整えて頂く。
薬物療法
非薬物療法を行ったうえで病院を受診し処方してもらう。-薬だけでは改善は期待できない。
環境の調整
子供のストレスを軽減するために親子間でしっかりコミュニケーションをとり、保護者、学校関係者が起立性調節障害の発症の機序を十分に理解し、医療機関や学校の連携を深める。
中学生は身体の様々な機能が大人へと変化していく時期です。この変化は自律神経系にも起こるため、循環器系の調整がうまくいかなくなる事があります。起立性調節障害はあくまでも体の病気であり、本人が頑張ればどうにかなるものではありません。保護者は子供の心理的ストレスを軽減させることが最も重要です。最近では学校でも起立性調節障害の理解が深まってきています。先生が研修や講習を受けている学校も少なくありませんので、一人で悩まず全体で子供を見守る体制を整え、最善な治療を選択し早期改善を目指しましょう。