こんにちは。
当院にお問い合わせの多いお悩みTOP5に起立性調節障害があります。
この症状では、
・朝、目が覚めるけど身体を起こせない
・起きても頭痛や吐き気があって学校に行けない
・時間が経つと元気になってくるのでサボりのように誤解される
というお悩みで困っている方が多くいらっしゃいます。特に中学生、高校生で発症して、受験勉強や今しかない学校生活への焦りから余計に苦しくなってしまうケースが多い症状です。
今回は、この起立性調節障害の根本的な改善を考える中で大事になる2つの基本方針をお伝えします。
それが『頭寒足熱』です。
ご家庭でもこの方針に則って生活習慣を見直していただくと改善が早くなりますので、お子様が起立性調節障害でお悩みの保護者の方には是非ご覧いただきたい内容です。
≪目次≫
- 頭が熱を持つと自律神経が乱れる
- 足が冷えると血液循環が低下
- 最強アイテム!湯たんぽと冷却シート
1.頭が熱を持つと自律神経が乱れる
まず、頭が熱を持つというのは、脳のオーバーヒートのことです。
人間の脳はまさにスーパーコンピューターみたいなもので、電気信号のやり取りをする回路が何億個も詰まっているようなものだとイメージしてください。
身の回りにある回路のある物、パソコンやスマホ、家電製品などががんばって動く時に熱を持って熱くなる事は経験があると思います。スマホのバッテリーが熱をもって「そろそろ寿命かな?」と交換の目安にもなりますよね。
同じように、人間の脳もがんばって働く時に熱を出します。難しい事を考えすぎると頭が熱っぽくなるのは、実際に熱が上がっている状態なのです。
そして、起立性調節障害の方の脳というのは、その熱が下がらずにオーバーヒートしている状態にとても近くなっています。
ずっと熱を持ち続けると機械が不具合を出しやすくなるのと同じように、脳も熱を持ち続けると働きが乱れてきます。それが自律神経の乱れとなり、目は覚めているのに身体が言う事を聞かない、という起立性調節障害の症状が現れるのです。
これを当院では「うつ熱」と呼んでいます。うつ病というわけではありませんが、慢性化するとうつ病にもなりやすくなります。
起立性調節障害の改善では、この頭の熱、「うつ熱」を冷やして下げてあげることが1つの大事な方針となります。
2.足が冷えると血液循環が低下
もう一つの方針が、足を温めることです。
頭と反対に、足は放っておくと冷えやすい部分です。冬でも裸足で過ごす方もいるくらいなので、冷えても平気な方が意外と多くいらっしゃいますね。
しかし、足の冷えは起立性調節障害の天敵です。何故なら、足の冷えによって身体全体の血液循環が低下してしまうからです。
血液は心臓から全身へ送り出され、この『行き』を動脈と呼びます。反対に身体の隅々から血液が心臓へ戻る『帰り』が静脈です。
動脈は心臓の押し出す力があり、しかも足は下にあるので重力で勝手に流れていくので簡単です。しかし、『帰り』は重力に逆らって心臓に押し戻さないといけないので、とてもパワーが必要になります。
足の役割として血液を心臓へ送り返すポンプの働きがあるのですが、足先を冷やしてしまうと血管自体が収縮して血液が通りにくくなってしまい、身体全体の血液循環の低下に繋がります。
血液の循環が悪くなると純粋に身体も動きにくいですし、朝起きる時に血圧を上げて筋肉を働かせる、ということに時間が掛かりやすくなります。
その為、起立性調節障害の基本方針として足を温めて血液循環を良くする、というのはとても重要です。
3.最強アイテム!湯たんぽと冷却シート
起立性調節障害の基本方針は『頭寒足熱』。頭は冷やして、足は温めることです。
その為に出来ることは色々あるのですが、手軽にすぐできる方法として2つのアイテムを使うことをおすすめしています。
そのアイテムとは『湯たんぽ』と『冷却シート』です。
湯たんぽは寝る時に足元かお腹に乗せて使います。
意外かも知れませんが、お腹に乗せる方が効果が高いのでおすすめです!
お腹を通る大動脈を温めることで、足先へ行く血液が暖かい状態となり、足の冷えを改善してくれます。
冷却シートも寝る時に使いますが、こちらはおでこに貼って使いましょう。
頭にこもったうつ熱を直接冷やします。
冷水で絞ったタオルや氷嚢でも効果的ですが、冷却シートだとタオルが落ちることを気にしなくていいので、ぐっすり眠るには貼れるシートタイプをおすすめしています。
湯たんぽも冷却シートもドラッグストアで手に入るので、気になる方は是非、今晩から試してみましょう。
まとめ
起立性調節障害の改善には専門的に治療できる当院でも半年は経過を追っていく必要があります。
基本的な方針は『頭寒足熱』。治療院でのケアの間、ご自宅で簡単にできるケアの方法として、湯たんぽや冷却シートを活用して、より早く、ご本人様が楽に過ごせるようにしていただきたいと思います。
また、まずはご自宅でのケアを優先してみたいというご家庭でもご活用ください。
起立性調節障害の一日でも早い回復を願っております。